スマホ用カードゲームアプリのドラゴンクエストライバルズ・エースのサービス終了が発表されました。
これは私自身全く想像していなかったことであり、大変衝撃的なニュースでした。
ドラゴンクエストライバルズと言えばサービスイン時はアクセス集中で大変なことになるなど、一時は大変話題になったタイトルでした。
そのライバルズのサービス終了の報は現在の日本のゲーム業界におけるガチャ課金システムの闇を見たような気がします。
目次
死にコンテンツではなかったライバルズ終了の衝撃
サービス終了の報を受け、驚いた一番の理由としては、ライバルズは全くお金にならない死にコンテンツではなかったということです。
ゲームアプリはアプリストア内のセールスランキング(セルラン)により、ある程度の売上予測を社外の人間でも立てることができます。
あくまでも推測の域を出ませんが、「お金が入っているか」「お金が入っていないか」くらいの判断はできます。
そのセルランを指標に収益を考えると、ライバルズはサービス開始直後の爆発力は無いものの継続運営できる規模の収益は上げられているなといった位置のゲームアプリでした。
※サービスイン時は大きな盛り上がりを見せました
カードゲームアプリという特性上、比較的ガチャ更新が緩やかであり、ガチャ更新頻度が多い他のスマホゲームと比較すると爆発的や安定的なセルランを記録することは見込めませんが、それも十分許容範囲内だと思ってました。
このように収益が下降傾向にあるもののある程度の収益は継続して上げられていたし、決して死にコンテンツではなかったライバルズのサービス終了は多くの人に衝撃を与えました。
過去サービス終了になったスクエニ作品は全くお金が入らなくなったから
多くのゲーマーから「スクエニのアプリは損切りが早い」とよく言われます。
ここでいう損切りとは、会社の利益にならないタイトルを素早く打ち切るという意味です。
ゲームのサービスインからサービス終了までが非常に短いということですね。
これについては悪いとは思いません。
開発費用にもの凄い費用をかけて売上が限りなくゼロに近いであろうタイトルに関してはいくら愛情や情熱を注いでも運営するのは無理であると納得がいくからです。
実際に全くお金が入っていないと思われてた多くのスクエニのタイトルは遅かれ早かれサービス終了を迎えています。
ただし今回衝撃を受けたのはある程度の売上を記録していたライバルズが終了するこということなのです。
アプリ乱立は企画承認体制に問題がある
ちょっと話が逸れますが、先ほども言った通り、損切りという行為自体は悪くありません。
ただ、損切り前の段階で「なぜこの企画が通ってしまったんだ…」と思えるタイトルが多々あるので、企画を承認している体制に問題があると私は思っています。
この辺りがちょっとよくわからないところなんですよね。
あまりにもターゲット層と乖離してしまっているタイトルが非常に多いのです。
作り手側は客観視点が欠けてしまうという事象も理解はできますが、それでも最低限の客観視点は保てると思うし、そのためのテストチームでは…とも思います。
この辺りが今後の課題でしょうか…。
では、なぜサービス終了するのか?
理由は単純でしょう。
「運営コストが収益を超えてしまっている、または今は黒字だが今後は赤字になる可能性が高いと判断された。」
これしかないと思います。
サービス終了に際してプロデューサーは「我々の力不足だった」と発言してますが、企業運営のゲームにおいてそれはつまり「会社が求めている数字(売上)を達成できなかった」という風に捉えて間違いはありません。
この点をクリアしているタイトルであれば何か法的な問題や関係会社とのトラブルなど致命的な外部要因がない限り、運営を終了させることはまずないからです。
そして、ライバルズは自社IPであるドラクエを扱っていることからそうした問題はまずないと考えていいでしょう。
私が大丈夫と思っていた運営費と収益のバランスがスクエニの求めるものから乖離してしまい、もはや軌道修正不可能と判断したからでしょうか。
しかし、個人的には運営規模を縮小すればサービスを継続できたのではないかと思っており、今回ライバルズを畳むのは本当に正しかったのだろうか?とは強く思います。
メジャーアップデートが最後の判断材料
今思えば、ライバルズからライバルズエースのメジャーアップデートがサービス継続の最後のジャッジのタイミングだったということでしょう。
メジャーアップデートの時期はCMなどの広告露出も盛んだった記憶があります。
ここで広告宣伝費を大量に投下する代わりに想定通りに売上が跳ねなければ終了の判断をするよ、ということだったのでしょう。
あの時、裏でそのようなことが行われるとは全く思いませんでした。
広告宣伝費は相当額になっていることが予測され、やれることはやったということでしたが、結果的にユーザー獲得は上手くいかずに翌年にサービス終了を迎えることになってしまいました。
一時のCMをすれば必ずユーザーが獲得できるという時代でもなくなってきた気もするので、プロモーションにおいても非常に難しく、マーケットの動向を読み難い時代がきたなという印象が強いです。
この手のアプリは細く長く続けて欲しかった
カードゲームアプリというジャンルはアナログゲームのオセロや将棋や麻雀といったゲームに通じるところもあって、それこそ子供が大人になってもプレイできるようなアプリであってほしいというのが私の思いです。
今売れているスマホゲームでもガチャで強いカードを引いてあとはボタンを押すだけのものだったり、オートで周回でルーチンなどゲーム性皆無な作品は未だに多く存在します。
そうした作品が悪いとは思いません。
そうしたゲームを求めているユーザーが多く存在することも理解していますし、自身もそうしたタイトルを日常的にプレイしています。
ただその一方、収益的には弱くとも戦略的要素が強く、細く長く運営されており、ちょっと寝る前にやろうかくらいの感覚で麻雀のように気軽にプレイできるカードゲームアプリもあっていいと思うんです。
業界的にも商売的にも売れれば正義、つまりセールスランキングが上位の方が絶対的に正しいと判断される会社も多いと思うんですけど、私はそうは思ってなくて、エンターテイメントという視点から考えるとやはりゲームと真摯に向き合えるタイトルこそ評価されるべきだと思うし、長く続いてほしいと思っています。
だからこそ、今回のサービス終了の報は残念なのです。
ライバルズは満足のいくクオリティに達していなかったのか?
おそらくこれは各々いろいろ考えはあるかもしれません。
いろいろ不満もある人もいるかもしれませんが、ドラクエを題材としたひとつのカードゲームアプリとして冷静に分析をしてみて欲しいです。
結論、私はクオリティ的には問題なかったと思っています。
ゲーム性やUIはもちろん、細かい演出やデザインなども一定の水準に達していたと思います。
※クオリティ的には一定水準以上のアプリであることは間違いなかった
なぜ会社の定めた売上に至らなかったのか?
正直なところこれはわかりません。
まぁ…これがわかれば苦労はしないですね…(笑)
逆によくわからない作品が売れたりもしますから…
ドラクエという強力なIPを使って、広告宣伝費も大量に投下、スタートダッシュも成功しました。
この時点でカードゲームアプリでトップシェアのシャドウバースと並ぶくらいのタイトルになるかと思われましたが、実際にはトップシェアであるシャドウバースを超えたのは最初だけでそう長くは続きませんでした。
後発のカードゲームアプリをヒットさせる難しさ
後発のスマホゲームタイトルはそれだけヒットさせるのは非常に難しいです。
なぜなら、1人当たりの許容タイトルは時間的にも金銭的にも限界があるからです。
カードゲームアプリについてはその後発のデメリットが通常のガチャ主体のゲーム以上に顕著に表れてしまいました。
おそらくこれは1プレイあたりの時間やそれにかける体力が他のジャンルのスマホゲーム以上にかかるからだと思います。
多くの人が既に既存タイトルに情熱を注いでいるので、それを捨てて乗り換えるというのはよほどの理由がなければ難しいでしょう。
ドラクエというIPに興味を示さない、ただ面白いカードゲームをプレイしたいとだけ思っていた人はサービスイン時には多少の興味を示したものの元いるタイトルに戻ってしまう。
そして実際にそうなったのだと思います。
この現象から、後発のカードゲームアプリをヒットさせるのは難しいと改めて感じました。
数字ばかり追いかけてると、この業界は近い将来破滅する…
今のスマホゲーム全盛のゲーム業界というものが、いかにして金を稼ぐかという場になってしまっています。
元々ファミコン時代あたりのゲーム業界って数字を求める以前に、いかにして楽しいものを提供しよう、そして自分たちも楽しもうという場でした。
自分たちが最高に楽しいと思うものを提供して、その結果数字が付いてきたんです。
ただ…現在は真っ先に数字を求めてしまっています。
たぶん何の企画会議にしろ売上やコストや開発工数などの算出を真っ先に行うでしょう。
悪い言い方をすれば、「どうやって稼ぐか」を一番最初に考えてしまっているのです。
特に…若い20代や30代が「売上の上がるタイトルを考えました」とかってプレゼンするのって夢なさすぎませんかね(笑)
これは株主からの圧力などもあるでしょうからなかなか難しい部分ではあると思いますし、そういった要因があることも理解はしていますが、私はこの現状が非常にヤバいと感じています。
今回のライバルズのサービス終了も、運営規模を縮小して最小限の黒字運営などに方向転換して成長性はなくともその作品を愛してくれている人に対してサービスの持続を提供することができたはずです。
しかしながら、「成長性がなく収益水準も未達だから会社には邪魔ですよ」と判断されて切られてしまったのです。
全く収益が上がっていないタイトルならともかく、この規模の収益のタイトルが切られてしまうのは大変不可解です。
これはユーザーに対しても大変失礼だなと。
ゲーム産業マーケットが拡大して、良い意味でも悪い意味でも企業化が進み、元々サークルの延長のような規模でやっていたものが今までと同じようにできなくなったという側面もあるので、簡単な問題ではないと思います。
ただ、最初はお金よりも「楽しさ」や「夢」から始まった業界なんですよ。
経営者からは夢物語を語るなと言われるかもしれません。
しかし、ここは絶対に譲れないところで、夢を売る商売なのに現実主義第一の経営体制で夢のあるタイトルが作れるのかな?と思ってしまいます。
これは、スクエニだけでなく業界全体の問題として提言したいですね。
今後のスクエニ作品への課金を益々ためらってしまう
今回の予期せぬサービス終了の判断にはいろいろ考えさせられてしまいました。
この規模のタイトルでサービス終了の判断をされてしまうと、ただでさえためらっていた課金が更に遠のいてしまうのではないかと思っています。
このような結果を受けて「頑張って今遊んでいるタイトルに課金しよう!」とも到底思えませんし、今後は今以上に課金の躊躇をしてしまうでしょう。
前述の通り、損切り云々ではなく、売上以外の部分を会社がどう考えているのかなという点が非常に気になり、素直な気持ちでゲームを楽しむのが難しくなってきています。
今の時代のゲームの在り方というのを考えさせられて、ユーザーもまたそのゲームとどう向き合って楽しめばいいかを求められる時代になってきたような気がします。
時代に適合しつつ、昔のように率直にゲームを楽しめる時が来て欲しいですね。
コメント
月額有料で復活して欲しいです。
おそらく私以外の元ユーザーでそう思われる方も多いと思います。