兵庫県新温泉町にある温泉地の湯村温泉にある老舗旅館「とみや」が2020年3月いっぱいをもって閉館されました。
「とみや」は自家源泉が自慢で多くの人から愛される江戸から続く老舗温泉旅館でしたが、コロナウイルスによる業績悪化がダメ押しとなり閉館を決めました。
私自身「とみや」旅館が大好きでしたし、コロナが落ち着いたらまた行きたいと思っていたので非常に残念ではありますが、4月の予約見込みは前年比で10%程になると言われており、閉館はやむを得ない決断だっと思います。
今回は私の「とみや」での素晴らしかった思い出・体験を語っていきたいと思います。
いい意味で昭和を感じることのできる旅館でした
私が昨年訪問した際は2泊3日でお世話になったのですが、非常にいい時間を過ごせていい思い出になっています。
館内や客室の清掃が行き届いていて、滞在期間中気持ちよく過ごすことができますし、旅館のスタッフの方々の愛想も非常に良かったです。
何よりも昭和の名残を感じさせる「とみや」旅館の雰囲気が非常に好きでした。
既に閉じられてしまっていますが、当時存在した旅館公式サイトや旅行サイトの公式メッセージでは「施設が古いが、その分おもてなしをする」旨が書かれていました。
その言葉通りに建物自体は昭和感たっぷりで、本当に昭和のままなんです。
ただ、これが良い…たまらなく良いんです。
客室にある木製のパズルや、最近はあまり見ることのなくなったジュースが入っていて後清算の冷蔵庫(訪問時は空でしたが昔は入っていたんだろうなぁと)、洗面所まで…何もかもが昔のままだったんです。
ここにファミコンがあれば、もう30年以上前に一瞬でタイムスリップできますよ…(笑)
もちろん新しい施設が良いという声もあると思いますし、実際にそういうケースが該当する施設もあると思いますが、こうした旅館には新しければ新しい方がいいということが全てのケースで当てはまるわけではありません。
それに古い施設が嫌だという声は清掃が雑であったりして清潔感がないから嫌という声などがあると思います。
しかし「とみや」は清掃や気配りがしっかりしており館内・客室が清潔のまま当時の雰囲気を”今”味わうことができるんです。
客室だけでなく、ロビーや温泉(風呂)までもが当時のままで、本当に何から何まで昭和感を体感することができたのです。
滞在中はなんだか本当に不思議な気分になりまして、昭和にタイムスリップしたような不思議な気持ちになったんです。
※客室からの景色も素晴らしかったです。この景色も当時のままではないでしょうか
私自身は昭和時代は子供でしたから、直接昭和を経験していませんが、親やバブル世代の人の意見を聞いたり当時の時代背景や情勢を調べたりして客観的に考えてみると、昭和時代(後期のバブル含め)というは日本人が一番エネルギーで溢れている時代だったと強く感じます。
電化製品なんかは世界最先端だったと思いますし、自身が愛するエンターテイメントにおいてもこの時代って本当に輝いていたと思うんですよ。
スポーツ、映画、ドラマ、ゲーム、漫画、アニメと語り尽くせません。
だからこの時代が大好きなんですよね。
滞在中はその昭和に戻ってこれたような、なんだか本当に特別な経験ができました。
このような貴重な経験をさせてくれた「とみや旅館」には本当に感謝したいと思っています。
同時にバブル期などは家族連れのレジャーはもちろんのこと、企業の宴会等で「とみや」旅館も潤っていたんだろうなぁ…と
旅館内で既に運営停止してしまったバーやプールなどの跡地を見て当時の情景が浮かんできてしまい、それが少し寂しくもありました。
温泉の種類も質も最高でした
※これらの写真は公式サイト閉鎖以前に掲載されていたものとなります
私が”サウナ”というカテゴリでこの記事を書いている通り、サウナもありました。
既に観光客もまばらで過疎期に入ってしまっているのにも関わらずサウナを停止させずに運営してくれているのは、いちサウナーとしても嬉しかったです。
サウナは室温は85~90℃、昭和の旅館のサウナといった感じの室内で室内の木の香りもどことなく昭和から続く香りのように思えてきて懐かしさを感じながら気持ちよく汗を流す事ができました。
サウナ後の水風呂もサウナ室を出たすぐ側に用意されており、サウナ後の冷却も完璧でした。
今でこそサウナと水風呂はセットのように扱われていますが、昭和時代の施設には水風呂がないサウナも結構ありましたから、老舗旅館である「とみや」旅館は当時からサウナとセットで水風呂が用意されていたんだなぁとサウナ好きの観点も取り入れて旅館を作ったんだなと感心していました。
しかも、水風呂の場所はサウナから出てすぐのところですからね。
本当によくわかってます!
しかし、ここは温泉旅館、メインは温泉です。
自然の景色を臨める極上の露天風呂ももちろん好きなのですが、私はサウナのある浴室内の階段を下りた先にある噴水のように絶え間なく温泉が噴出される内湯が凄く好きでした。
もう本当にボコボコ噴き出ていて、内湯が常に溢れて大洪水状態になっているんですよ。
あそこまで勢いよくボコボコ温泉が湧き出ているのは珍しいですね。
この温泉がまた気持ちよくてですね。
この噴き出る温泉でポカポカになって水風呂に入ると、サウナとはまた違った交互浴が楽しめてそれはそれで凄く気持ちよかったです。
こうして写真を見ているだけで滞在時のことを思い出して「いい旅行だったなぁ~」、「よかったなぁ~」と思えます。
素晴らしい体験と温泉をありがとうございましたと「とみや」に関わる全てのスタッフにお礼を言いたいです。
この温泉にはもう二度と入れないと思うと本当に残念で仕方ありませんね…
湯村温泉はこれからも続いてほしい
湯村温泉は私が今まで行った全国の温泉地の中でもかなり好きで気に入っている温泉地です。
規模的には街の中心地一箇所のみで完結し、観光客の数もそこまで多くなく、飲食店もほとんどなく、観光スポットも決して多いわけではありません。
だからこそ、都会の日常を忘れることができて、自分だけの時間をゆっくり過ごす事ができる、まさに隠れ家的存在の温泉地です。
※湯村温泉の中心地、この中心地のみで湯村温泉はほぼ全て完結します
ただ、その魅力のひとつである”人がまばら”という点が温泉地にとっては致命的で、ビジネス的な観点からは今回閉館してしまった「とみや」以外の旅館も営業面では苦戦していると考えられます。
この隠れ家的な温泉地になってしまっているのは、最寄りが鳥取空港からバスを乗り継いでくる必要があるなどアクセスがかなり悪いことであったり、近くに城崎温泉などの湯村温泉よりも大きな温泉地があることが考えられます。
他にも理由があるかもしれませんが、やはり一番はアクセスの悪さでしょう。
湯村温泉自体が苦戦を強いられてしまっているのは、昨年「とみや」を訪問した時にも感じてしまい、コロナウイルスの影響有無に関わらず経営が厳しかったのではないかなと思います。
日本全国に存在する温泉地というのは本当に場所それぞれで極端で、潤っているところは潤っていますが、綱渡り状態の温泉地も多数存在します。
ただ、ここが難しいラインで、湯村温泉のような隠れ家的な温泉地は人で溢れる有名温泉地とは違った過ごし方ができることから有名温泉地にはない魅力で溢れているのは確かです。
ただ、それが温泉地にとっては全く旨みがないという…温泉地や旅館にとっては多くの人が来てくれるに越したことはありませんからね。
この観光客側のわがままで、観光地側と観光客側のギャップが存在してしまうのは非常に皮肉だと思います。
こうした事は観光ビジネスだけでなく、飲食業界などにも通じるところがありますし、音楽業界などにもヒットすると歌手側とファンの距離が広がってしまうなど、ありとあらゆる様々な業種で似た現象があります。
なかなか難しい問題ですね。
ただ、やはり一番は運営側(この場合で言うと温泉地や旅館側)が潤うのが一番ということは紛れもない事実ですし、そうであって欲しいので”これからの湯村温泉”を守る意味でも1人でも多くの人が湯村温泉に足を運んで欲しいと思っています。
※湯村温泉名物「荒湯たまご」作りが楽しい!
湯村温泉は本当に気が休まります。
荒湯たまご作りを楽しんで、温泉で汗を流して、美味しいご飯を食べて、よく寝る。
気に入る人にとっては気に入る隠れ家的温泉地なので行ったことない人にはぜひ行って欲しいです。
コロナ終息後は湯村温泉に行こう!
今年また行きたいと思っていた「とみや旅館」にはもう行くことはできません…
しかし、これまで語った通り湯村温泉自体にとても魅力を感じていますので、他の旅館にまた2泊3日くらいで立ち寄らせていただこうと思っています。
※今まで素晴らしい旅館をありがとうございました!
2020年はコロナウイルスが猛威をふるっており、温泉地に限らず、全国の観光地が経済的ダメージを大きく受けています。
コロナウイルスが終息したら、各々自分にとって大切な観光地に行ってみてください!
行く候補があまりないという方は、この湯村温泉にぜひとも訪れてみてください。
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